アレルギー科

スギ花粉症の舌下免疫療法  

 注射を使わない治療で体質改善

スギ花粉症は春先に多く発生し、鼻水やくしゃみ、目のかゆみなどの症状が現れます。この症状は、スギ花粉に対するアレルギー反応が原因です。子どものスギ花粉症に対して、舌下免疫療法は有用な治療法の1つです。舌下免疫療法とは、アレルゲンを舌の下に置いて吸収させることで、免疫システムの調整を行い徐々にアレルギー反応を緩和する治療法です。舌下免疫療法は、症状を軽減するだけでなく、症状の再発を防止する効果があります。 従来の花粉症の治療は内服薬や点眼薬を使用し、症状をその季節だけ抑える治療です。舌下免疫療法は花粉症の病気自体を治す治療法です。治療効果は患者さんによって個人差はありますが、副作用も少なく、高い治療成績が期待出来る治療法です。 患者さんにとっては、根気が必要ですが自宅で簡単にでき、通院も1か月に一度ですむ治療法です。

食物アレルギー  不必要な食品除去を続けていませんか

食物アレルギーは体を守るために働くはずの免疫のシステムが、食物に対して過剰に反応して起こります。子どもの食物アレルギーはとても多く、保育園児では当初およそ10人に1人が給食で何らかの食品を除去していますが、成長とともに減少し、小学校入学前には100人中2~3人にまで減ってきます。乳幼児の食物アレルギーの原因となる食物は、卵、牛乳、小麦が多く、この3つで原因食品の4分の3以上を占めています。食物アレルギーの多くは、かゆみや湿疹を繰り返す、乳児期発症のアトピー性皮膚炎として発症します。スキンケアと軟膏塗布により湿疹が一時的によくなっても、軟膏をやめると湿疹を繰り返す赤ちゃんはこの疾患であることがあります。離乳食の時期には、原因となる食物を口にした時にじんましんや嘔吐、せき込み、呼吸困難などの即時型反応による症状がでることがあります。お子様が食物アレルギーと診断されても食物アレルギーは、子どもの成長とともに治っていくことを知っておきましょう。食物アレルギーは、ほとんどの場合成長に伴って症状が軽くなります。小学校入学後も食品除去が必要となるのは、乳児期から食事指導を受けている食物アレルギーの子の数%以下です。 食物アレルギーの治療の最初のステップは、原因の回避で、必要最小限の食品除去からスタートします。本来は栄養素として摂り入れるべき食べ物を除去することになりますので、除去の目的は「安全に食べること」です。適切な指導を受け、不必要な除去を続けることのないようにしましょう。

アトピー性皮膚炎 プロアクティブ療法で上手につきあう

アトピー性皮膚炎は、乾燥やかゆみ、炎症を引き起こし、非常に辛い症状をもたらします。しかし、プロアクティブ療法という新しい治療法があり、症状を改善することができます。
プロアクティブ療法は,再燃を繰り返す皮疹に対して、急性期の治療によって寛解導入した後に保湿外用薬によるスキンケアに加え、ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏を間欠的に塗布し、寛解状態を維持する治療法です。 アトピー性皮膚炎では、炎症が軽快して一見正常に見える皮膚にも炎症細胞が残り、再び炎症を引き起こしやすい状態にあることが多いのですが、この潜在的な炎症が残っている期間ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏などの抗炎症外用薬によるプロアクティブ療法を行うことによって、炎症の再燃を予防します。最近は小児に使用できるステロイド以外の抗炎症薬が増加しJAK阻害薬、PDE4阻害薬などが使用可能になりました。

 

 

気管支喘息

適切な治療とケアで快適な毎日を

近年、小児喘息の急性増悪(発作)で苦しんだり入院するお子様は大きく減少してきました。

 しかし依然として子どもの慢性疾患の中で最も患者数の多い疾患の一つであり、良好なコントロール状態を達成できていないお子様も残っています。適切な治療とケアによって快適な日常送れる送れるようになります。薬の使用中でも、運動や遊び、学校生活を制限する必要はありません。ただし、アレルゲン(花粉、ハウスダスト、ペットの毛など)には注意が必要です。症状が悪化した場合は、すぐに医師に相談してください。家庭でできるケアとしては、部屋の掃除や換気、加湿器の使用、タバコの煙やアレルゲンを避けるなどがあります。小児の気管支喘息の75%程度はダニをアレルゲンとする通年性鼻炎を伴っており、アレルギー性鼻炎と小児気管支喘息が併存するお子様ではダニ舌下免疫療法による鼻炎と気管支喘息への効果が期待されます。