予防接種・ワクチン

 子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)

子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)定期接種に新しい9価ワクチンが使用されています。

  子宮頸がんは、子宮の入り口にできる「がん」のことです。日本では毎年10,000人以上の若い女性が子宮頸がんと診断されています。また、年間約2,900人の命が子宮頸がんで奪われています。これまで、2種類のウイルスの感染を防ぐ「2価」のワクチンか、あるいは4種類を防ぐ「4価」のワクチンで無料の定期接種が行われていましたが、今年4月からは、より高い感染予防効果がある9価ワクチンが定期接種として使用可能になりました。9価HPVワクチンはこれまで接種回数は3回とされていましたが、15歳未満の女性は2回となりました。具体的には、15歳の誕生日よりも前に1回目の接種を行ったうえで、5か月以上あけて2回目を接種します。15歳を過ぎた女性は3回の接種が必要となります。

 

乳児の予防接種のスケジュールについて

乳児期に必要な予防接種が多くなり、保護者の負担も増えている一方、一回の来院で接種、投与するワクチンが4種類になるなど乳児の負担も多くなり、心配する保護者の方もおられます。そのため当院では保護者の希望により日本小児科学会の推奨するスケジュールに加えて、乳児の負担を少なくするため一度に行う注射を2種類に抑えるスケジュールも取り入れています。

 

令和6年度の予防接種

 4種混合ワクチンにHibが加わり五種混合ワクチンになります。

肺炎球菌ワクチンが13価から15価ワクチン(バクニュバンス)へ変更になります。

 

静岡市  令和6年度の予防接種

定期接種

1)五種(ジフテリア・百日咳・破傷風・不活化ポリオ・Hib)混合( 生後2か月~)

 対象年齢は、生後2カ月~7歳6カ月未満までです。(1期3回、追加1回)

 注:今年度から従来の四種にHibが加わり五種になりました。既に四種混合で接種を開始し       ている方は4月以降も継続して四種混合で接種します。

 

2)Hibワクチン(生後2か月~)   

  Hibとはインフルエンザ菌b型という細菌です。この菌によるHib髄膜炎は2歳未満の乳幼児に   多く発生します。生後2ヵ月から3回、および追加1回接種します。今年度から開始の方は五 種混合に含まれます

 

3) 小児用肺炎球菌ワクチン(生後2か月~)  

   中耳炎や肺炎など頻度の高い感染症の他、菌血症や髄膜炎など重篤な感染症の原因となりま す。お子様が集団生活を始めると、この菌の感染率は急速に増加します。生後2ヵ月から3回、および追加1回接種します。今年度から13価ワクチンから15価ワクチン(バクニュバンス)へ変更になりました。

 

4) B型肝炎ワクチン(生後2か月~)

 対象は1歳にいたるまでで3回接種します。

 キャリア(ウイルスが排除されずに体内に留まり続けている人)は慢性肝炎、肝硬 変、肝がんに進行するリスクがあります。ウイルスはキャリアの血液の他、唾液、汗、涙などにも存在するため周囲の人が感染する危険があります。乳幼児が感染す ると大人に比べキャリアになりやすいため、早期接種が推奨されます。

 

5)BCG(標準生後5か月~)

 接種対象年齢は1歳に至るまでで、生後3か月からですが標準接種年齢は生後5か月~8か月です。接種部位に発赤、腫脹などの局所反応がおこりますが通常3ヵ月程度で瘢痕化します。10日以内に強い局所反応が見られた場合はご連絡下さい。

 

6)日本脳炎(生後6か月~)

 1.1期初回接種と翌年度の追加

 生後6カ月~7歳6カ月未満のお子様は、初年度(1期)2回、翌年度追加1回が公費で受け  られます。追加1回は6ヵ月以上の間隔で接種します。標準的接種は3歳からですが、静  岡県はブタの日本脳炎抗体保有率の高い地域であることから生後6カ月からの接種が推奨さ  れています(日本小児科学会)

 2.2期接種は9歳以上~13歳未満の方が対象で公費で接種が受けられます。

 注:H7.4.2~H19.4.1生まれで20歳未方は方は1期2期の不足分を定期接種として接種できま す。(予防接種シール不要)

  特例:この時期生まれで平成23年5月19日までに日本脳炎ワクチンを1回以上接種してい  る方については、20歳の誕生日の前日までの期間、残りの回数(1期2回目、1期追加及び   2期)を中6日以上の間隔をあければ接種可能です。

 

7) MR(麻しん、風しん混合)ワクチン(1歳~)

  1期: 1歳~2歳誕生日の前日まで。2期: 小学校入学前の1年間

1期接種を逃したお子様は年長までに1回、小学1年生~高校3年生で麻しん風しんの2回の接種が完了していない場合、期に関係なく不足回数を静岡市の負担で接種可能です。なお接種歴にかかわらず原則MRワクチンを使用します。

 

 8) 水痘 (1歳~)

  平成26年10月1日より3歳未満のお子様は2回定期接種になりました。1歳になったら接種し、3ヵ月以上(標準6か月~12か月)あけて2回目を接種します。

 

9)二種混合(ジフテリア・破傷風)

 11歳以上~13歳未満までの方は二種混合(ジフテリア・破傷風)の2期接種が個別に公 費で受けられます。

 

10)HPVワクチン(子宮けいがん)

HPVウイルスが持続的に感染することで浸潤ガンに至ります。このガンのほぼ100%でHPVが検出されています。20代から40代に多く日本では年間1.1万人が発症し、3千人もの人が命を落としていますが、HPVワクチン接種により子宮頸がんの発症を大幅に抑制できます。最近の報告(英オックスフォード大学発行の医学誌)では14歳になる前にHPVワクチンを接種した女性では浸潤性子宮頸がんの発症は0件でした。日本では接種後手足の痛み、失神などを訴える方があり一時勧奨接種が中断されていましたがHPVワクチンの安全性を調べた“名古屋スタディ”では、ワクチン接種群と非接種群の少女たちに『ワクチンの副反応』とされた症状が同様の割合で起きていました。これらの結果により2022年4月からHPVワクチンの積極的勧奨が再開されました。対象は小学6年生から高校1年生に相当する年齢の女子です。高2~平成9年度生まれまでの女性のキャッチアップ接種は今年度で終了となります。 標準は中1)接種シール不要

 

11) 風疹 昭和47年4月2日~昭和54年4月1日までに生まれた男性で抗体価が低い 方(抗体価の検査にクーポン券が必要)

昭和37年4月2日~昭和47年4月1日までに生まれた男性で抗体価が低い方(クーポン券が送付され抗体価の検査が受けられます)。

 

12) ロタウイルス胃腸炎ワクチン (生後6週~24週まで)

 ロタウイルスは感染力が強く保育施設内感染性下痢の主な原因です。突然の嘔吐、下痢などで始まり、特に1歳未満の乳児ではひどい脱水やけいれんなどの重い症状が出やすく危険です。ワクチンを接種すると、重症になって入院する確率はきわめて低くなるため、日本全国の平均接種率は50~60%まで増加しました。ワクチンは甘いシロップ状で生後6~24週の間に4週間以上あけて2回接種します。それ以後は接種出来ません。このワクチンは世界120カ国以上で使われています。なお、このワクチン接種後わずかながら腸重積症の増加が報告されていることから、接種後強い腹痛や吐く、血便などの症状を呈した場合は速やかに受診して下さい(多くは7日以内 なお1歳未満児の腸重積症の自然発症率は65.2/10万人と報告されています。)

 

13)高齢者における肺炎球菌ワクチン

「接種日時点で満65歳の方(または60歳以上64歳未満で心臓、呼吸器、免疫機能に一定の障害をもつ方)」が対象とまります。

 

14)新型コロナワクチン

 定期接種の対象者は、65歳以上の方(60歳から64歳までの方についてはインフルエンザワクチン等における接種の対象者と同様)。年1回接種で秋冬。

 

任意接種

1) 流行性耳下腺炎(1歳~) 免疫がないと何歳になっても罹患します。罹患すると有効な薬がない上合併症の多い疾患です。よく髄膜炎をおこす他後遺症としてときに高度難聴を残します。そのためワクチンで免疫を獲得する必要があり、自然感染は絶対に避けるべき疾患です。日本小児科学会では1歳時と5~6歳の2回接種を推奨しています。ワクチンの副反応による耳下腺腫脹の発生率は低年齢児ほど低いため1歳になったら早期の接種が適切と考えられます。

2) インフルエンザワクチン(生後6か月~)

 例年10月1日から接種が始まります。インフルエンザ脳症は小児での報告例が多く危険な疾患です。特に集団生活をしているお子様には接種しておかれることをお勧めします。 接種回数は13歳以上は1回、13歳未満は2回です。